2017/7/21
これは、宮崎県えびの市の呼びかけに、アートディレクターの僕と、映像監督の木村和史さん、スチャダラパーのBoseさん、サニーデイサービスの曽我部恵一さんと飯野高校3年B組の生徒が集まり、アイデアを出し合ってミュージックビデオを作るというプロジェクトです。
僕は、明日から飯野高校3年B組のみんなと「デザイン思考」を使ってアイデアを出していきます。
デザイン思考は、実践的かつ創造的な問題解決、もしくは解決の創造についての形式的方法であり、将来に得られる結果をより良くすることを目的としています。
4回のワークショップで「発想のステップ(知る・想う・創る・動く)」を体験し、高校生自身の体験と地域をテーマにする事で、当事者意識を持った将来のリーダーを育成する事を目指します。
とにかく楽しく、気持ち良く取り組もうと思います。
2017/7/22
今日からワークショプが始まります。
宮崎県えびの市のPRプロジェクトの企画を書き始めた時、まず、「デザイン思考」を核にすることにしました。僕たちデザイナーがものをデザインする時にやっているようなプロセスで、ユーザーを分析し、仮説を立て、初期に明らかにならなかった第二の戦略や代替する解決策を特定するために問題を再定義しながら問題解決していく方法です。ただ考えるだけではなく、行動しながら考え、より良い結果を追い求めます。ほぼ答えのないプロジェクトだし、毎週SFのようなイノベーションが起こる現在にはぴったりの考え方だと思いました。
クリエイターの方々に声をかけさせてもらい、書きかけの企画書やプロトタイプのアイデアを見てもらっている時に、Boseさんに言われたことが印象的でした。「高校生のアイデアを軸にPRをすることになっているけれど、僕たち大人が高校生の時に、例えば藤子不二雄先生をあっと言わせるような企画って書けたと思いますか?」
確かに! 検索すれば答えに近いことや、無数の参考資料が見つかる現在でも、大切なのは経験だったりします。
若者には限りない可能性はあるけれど、経験は圧倒的に少ない。
そのことを踏まえて、焦らずに、長期的に見て飯野高校の生徒のためになる有意義な時間にしようと思います。
2017/7/26
週二回は訪れる道の駅えびの。えびのの「よかもん」が揃っています。地鶏の炭焼きはマスト。新鮮で安全なおいしい野菜が安くたくさん手に入ります。
2017/7/29
二度目のワークショップ終了。
撮影のために飯野高校3年B組のみんなで、えびの市の美しいロケーションやイメージなどをマインドマップにしました。
ワークショップの後、学生が推薦していた毘沙門の滝に娘を連れてロケハンに行ってきました。
多くの学生のマインドマップにも表現されていた通り、えびの市の「水」は本当にきれいです。世界的にも有名な飲料水メーカーのミネラルウォーターの採水地でもあるので、そのクオリティはお墨付き。世界屈指と言っても過言ではないと思います。要するにえびの市民は、水道をひねればミネラルウォーターが出てきて、そのお水でうがいをして、お皿を洗い、お風呂にも入るという恵まれた生活をしているのです。「湯水のごとく」と言う言葉は、水の豊富ではない世界の地域では存在しない例えでしょうね。
お米もお肉もお酒も、ここの食べ物は何でも美味しい。人は何にでも慣れていくけれど、例えば進学や就職でえびの市を離れて、あたりまえだった水や空気が無くなった時に、わかっていてもハッとするんでしょうね。改めて水がきれいだということは、人や自然にとって一番大切なことだと思いました。
2017/7/30
僕がえびの市にいることを知った親友が愛知県から遊びに来てくれて、そして今日帰って行った。
彼が滞在中にSNSで美味しい中華料理の正一や、チーズ饅頭で有名なお菓子の香菊のことを書いたら、彼の友人から、「えびのは地元で、正一も香菊も同級生の実家だよ!」っと連絡があったそうです。偶然! …のようですが、「引き寄せの法則」と呼ばれるものを僕は信じています。「自分に起きる出来事は自分の思った事からしか起こらない」。思考は言葉や表現や些細な選択の積み重ねによって現実化していくのではないでしょうか。
旅慣れている親友は、道の駅えびのでお土産を買って、ひょいっと鹿児島行きのバスに。
えびのはアクセスがいいですね〜!
2017/8/2
用事があって岡山へ。新幹線の中でWi-Fiを使ってWebデザインの仕事をしようと思っていたんだけど、九州新幹線って意外にトンネルが多くてなかなかオンラインでの仕事が進まなかった。
こういう時はデザイナーとして形にする仕事はしないで、意識の部分での仕事を進めるようにしています。
2017/8/4
朝7時からやっている手づくりパン工房OONOYA。週2回は通っています!
2017/8/5
今日は東京で仕事です。えびのインターがあるから何処にでもアクセスしやすいのがいいですね。ちょっと行ってきます!
2017/8/8
今日は満月。
えびの市は美しいところ
です。太陽、月、星、山、川、田畑…。都会での生活を20年以上続けていた僕は、えびのの自然が作る一瞬の芸術に目を奪われてばかりです。インターネット環境さえあればデザイナーとしての仕事はほぼできるので、数年前から場所に縛られない人生を歩むのにはどうすればいいかを考えてきました。
きっかけは、3.11でした。親しい友人も故郷を失い、自分だけの力では到底かなわないような大きなうねりの中に、偶然、たまたま僕たちは生かされているのではないかと考えるようになり、今、必要なのは、不確実な未来に向かう動じない心なのかもしれないと思うようになりました。
日々悔いのないように全力で楽しんで、やりたくない仕事は可能な限りやらないで済むようにする。好きなことをするために、こだわりのないものはとことんそぎ落とし、好きなことを仕事になるまで続ける。考えて考えて、わずかなひらめきを見出したら、パターンを出し、成功例を研究し、逆算し、仲間を探してお願いや相談をする。デザイン思考は常にゼロベースで考えます。
一人でできることはやるのだけれど、短所を克服するより、それが得意な仲間を見つけて、自分は好きな事に集中するほうが、全体的には目標に近づけるような気がします。ただ、ほぼ全てのことは移りゆくので、答えのようなものも、ずっと変化し続けるのかもしれません。
3歳の娘に、「どうして太陽は昇るの?」と聞かれ、それは、地球が自転しているから止まっている太陽が昇っているように見えるんだよ。と答えつつ、いや、そういえば太陽も銀河を回っているんだった! と言いなおしました。
毎日は、ローテーションしているのではなく、自然界に多く存在する黄金比のようにらせんを描きながら進んでいます。だから二度と同じ瞬間は訪れません。
人間は紛れもなく自然の一部だから、そんな自然界の法則を美しいと感じるのかもしれないです。
2017/8/10
221号線亀城交差点付近にある釜揚げうどんかっぱ。
大好き!! このネギがのった肉うどん、幸せの味です。
「楽しむ」とは、自分の直感に逆らわないことかもしれません。直感が「良い」と思っているのに、その道を進まないのは、チャンスを逃すことかもしれません。
デザイナーは頭の中は常にそんな感じです。
2017/8/12
えびの市は温泉の宝庫です。今日は一番のお気に入り、白鳥温泉の下湯に来ました。
友人を招待するときは上湯に行きます。前者は総合点が高く、後者は眺めが最高という感じです。
こんなに泉質がよく種類が豊富で、しかも入場料が安い温泉がたくさんあるまちなんて、そうそうあるもんじゃないです。とても贅沢だし、常に心が穏やかでいられます。
2017/8/17
えびの市にはマニアックなお湯も沢山あります。写真は昼間しか開いていない「あきしげゆ」です。泉質も良く、内湯も露天も広々としたスペースがあってリラックスできます。
さらにマニアックなのが鹿の湯。百聞は一見に如かず、むむむ!って感じの体験ができると思います。
宮崎、熊本、鹿児島の県境に位置するえびの市から、さらに車で1時間ほど足を伸ばせば、ありとあらゆる温泉があるので、暇を見つけては攻めまくっています。火山の国に住むリスクと引き換えに、温泉を楽しむ贅沢を享受しているんだと思っています。
そういえば、えびのでは50年前に大きな地震があったようです。真幸地区では震度6を観測し、京町温泉街も大打撃を受けました。
震災というのは現在の日本のクリエイターにとっても、大きなテーマのひとつです。こういったネガティブなテーマをポジティブなテーマに置き換え、いかに海外の方や後世に伝えていくかというようなことも、アーティストの宿命だと思っています。
2017/8/19
えびののまちを車で走っていると、いたる所で「田の神さぁ」に出会います。
「田の神」信仰は全国に浸透していますが、「田の神」を石に刻み豊作を祈願する風習は18世紀初めに始まる薩摩藩独特の文化だそうです。色々な時代の色々なデザインの神様に逢えるのは、えびの市の楽しみのひとつです。
2017/8/21
えびののお米は本当に美味しい。ひのひかりの塩むすびはご馳走です。
2017/8/25
ひのひかりの新米は食べたことがないけれど、想像するだけでワクワクします。待ち遠しい!!
2017/9/1
白鳥温泉上湯のすぐ裏の山道を登ったところにある「地獄」を見に来ました。地球は生きていますねー。
2017/9/8
これは白鳥温泉上湯からの眺め。美しいえびの市が一望できます。まさに極楽。すぐ裏の「地獄」からの距離、わずか数十メートル。不思議ですねー。
2017/9/9
えびの市歴史民俗資料館にあるジオラマ。えびの盆地とも呼ばれる加久藤盆地は、大昔に加久藤カルデラを起源として形成されたらしい。
資料館は見どころが多く、立派な図書館も併設されているので家族でよく遊びに行きます。
2017/9/13
曽我部さんからデモが届いた!
目の前の景色が突然輝きだし、宇宙の全て、自分以外の全ての存在や無までにも感謝したくなるようなイメージの曲とメロディー。
音楽は魔法だと言われることがある。例えば、ガラガラヘビの音を聞いて逃げなかった哺乳類は絶滅した。生き残っている僕たちの潜在意識はその音を怖がる。赤ちゃんの泣き声を聞けばオキシトシンが分泌され体が反応する。 言葉は思考と結びついているから脳を刺激する。歌詞は比喩で解釈は人それぞれ。
このあたりが、音楽が魔法だと言われる理由かもしれないと思いました。
2017/9/14
京町温泉から車で5分ほどの場所にある吹上温泉。男女別のお風呂の他に家族風呂もあります。入浴料は250円。家族湯は600円。安い!! 透明ないいお湯でした。
2017/9/18
えびのでは、何気ない風景にハッとさせられます。長い歴史の中で丁寧に用水を巡らせた先人たちの努力の結晶。現代のグローバルシステムに対抗できるのはこれだと思います。いつまでも残していってほしい美しいまち。
2017/9/21
えびの市でランチを食べる時によく行くのが田の神さぁカフェです。
お洒落な古民家カフェで、とても居心地がよく美味しいランチをいただけます。お店の中には可愛いラブラドールレトリーバーとダックスフンド、それに猫、敷地内には馬や鹿もいて、3歳の娘も大満足!
飯野高校の生徒さんに教えてもらった、幸せな気分になれる素敵なカフェです。是非!!
2017/9/21
今日はあいにくの雨でしたが、Boseさん、木村和史さんと一緒に、学生の推薦するロケ地候補にも多く挙げられていためがね橋に行ってきました。昭和3年に架けられた石造りの美しい橋です。正式名称は「月の木川橋」。
2017/9/23
Boseさん、木村和史さんと一緒に、焼酎の神様・金松法然様にお参りに。
法然様はその昔、どこからともなくやってきて、えびの市に住み着いたと言われるお坊様です。大酒飲みでしたが、法力は大変強く、度々村人の苦難や危機を救ったそうです。
亡くなる直前に「俺が死んだら、焼酎を供えて一つの願を立てろ、かなえてやる。二つ以上はかなわぬぞ、欲張りはいかん。」と言って目を閉じられたそうです。
2017/9/23
ワークショップ3日目は、Boseさん、木村和史さんも参加して、曽我部さんの仮メロにBoseさんのラップが乗ったデモを聴きながら企画書と絵コンテを書きました。 日本のイノベーションの為にはイノベーターの育成が不可欠ですね!
「人とはなにが違うのか」が、どんな職種でも大切で、それこそがすべての源だと思います。
2017/9/23
川内川の最上流にある延長10キロメートルの渓谷、狗留孫(くるそん)峡に行きました。
木村監督はカメラを持つと、何かモードが変わるような感じになります。
「得意なことや好きなことを持って極めること」は、これからの時代、特に大切なことだと思います。
2017/9/26
えびの高原にトレッキングに行きました。白紫池の手前でニホンジカの親子を見ることができ、神々しい気持ちになりました。
自由と平等は両立しない。自由な社会では格差が広がり、平等な社会では不自由になる。人は宇宙の一部。正しい知識とバランスが大切。内なる神、つまり自己との対話が必要なのだ。多神教と一神教は表裏一体。人がイメージする神や仏は、解釈の違いや見た目、デザインの違いがあるだけで概念は同じ。愛こそが全て。
そんなことを考えさせられる霧島の森。何もないところに全てがある。
2017/9/27
えびの市ではいたるところで群生する彼岸花を見ることができます。黄金色の稲穂との対比が綺麗ですね。
2017/9/28
飯野高校の生徒さんに教えてもらって、どうしても来たかったラーメン屋さん慶珉(きょうみん)に滑り込み! あっさりとした豚骨ラーメン。これは美味い! 餃子も絶品!!
2017/9/30
いよいよ最終日。
授業を通じて、クリエイティブなマインドセットができはじめた学生も多くいました。この人たちが世界を変えていくのです。若者たちに大人が引き寄せられたんでしょうね。
10年前にはiPhoneもなかった。自動運転革命、バイオ医療革命、ブロックチェイン革命など、過去のしがらみを捨てたわずかな大人と、若者たちだけに未来はあるのでしょう。
こういう機会に出会えて、デザインをやっていてよかったなと、思いました。